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【偏食について】 〜味覚・食感の過敏さの巻〜

【この記事でわかること】

この記事では、単なる「好き嫌い」だけでなく、感覚の過敏さやこだわりから起こる「偏食」について、

「どうして食べられないのか」という原因や対応を知ることができます。

*保育園と療育現場で、好き嫌いがある子どもたちや偏食の子どもたちに 数多く対応してきた経験と、自分の子どもや、自分自身も偏食だったことを踏まえて、体験してきたことや思いなども織り交ぜて、お話していきます。

(はじめに)

「うちの子好き嫌いが多くて困るのよね」

「うちの子も偏食で、野菜を食べさせるのにひと苦労よ」

よくある会話です。

 

「どうしたら食べるようになるの?」それに答える前に、

そもそも、どうして食べられないのでしょうか?

 

好き嫌いと偏食は、同じように使われていますが、

好き嫌いの激しいバージョンが偏食 というような違いで言われているようです。

今回は、できれば食べたくないけれど、励まされたり、

刻み方や調理方法や味付けを変えることで どうにか食べることができる

そんな 「好き嫌い」の対応だけではなく、

感覚過敏やこだわり等によって生じている 「偏食」

についてお伝えしていきます。

 

保護者からの 偏食のご相談は とても多いです。

少しでもお役に立てれば幸いです。

【食べない原因:それホント?】〜よくある言い伝え・伝説のようになっていること〜

偏食って 育て方が悪いからなの?

・ちゃんと離乳食を進めなかったから?

・手抜きして手作りしなかったから?

・料理が得意ではなくて、ちゃんと食卓にまともな料理を出せなかったから?

・向き合って段階を踏んで 食べさせることをしてこなかったから?

それらのできなかったことが原因で、自分を責めている保護者の方は多いです。

私もその一人でした。

これらのことは、偏食を助長させる一因に なっていることはあるとしても、

それだけが原因で、偏食になってしまった という明確なこたえである

とは言えないと思います。

偏食のお子さんは、本人にしかわからない感覚の不快さから

食べられないことが多い という感覚の過敏さが原因であることが

1つの原因ということがわかってきています。

それを知らない大人から「わがまま」だと責められたり、

「食べてみたらおいしいんだから!食べなさい」と強要されることで

本人はとても困っています。

私も偏食でした。

私には3人の子どもがいます。

3人のうち、3番目の子だけが好き嫌いが激しいです。

前述しているように、感覚の過敏さのある子です。

そして私自身も、好き嫌いの激しい 偏食のある 少食な子どもでした。

食べられるものをあげたほうが早く、

殆どの食材が嫌いというか、口にできず、食べたことがなく、

どんなに勧められても 食べられませんでした。

お寿司屋さんに行っても、

食べられるものが卵焼きときゅうり(かっぱまき)しかなく、

それも 本当は大好きなわけではなかったです。

仮に「美味しいから食べてみな」と 大人から

良かれと思って 口に入れられても 喉を通らず、

オエッとなって 押し返されてしまうのです。

ですから、小学生の時は給食の時間がとても苦痛でした。

特にお肉の筋や脂身が多いところが入っていると、

全く飲み込めずに、どうしてもオエッとなってしまい、涙が出てきます。

先生が見ていないすきを見て、ティッシュに出していました。

「減らしてもいいよ」「残してもいいよ」

という先生が 神に見えました。

「給食を残すことは悪、完食は善」なの?

今も、給食を完食させることに情熱を燃やし、指導する保育士さんや先生はいます。

でも、「給食を食べさせるべき」か「食べたくないなら、なんにも食べなくてもいい」

そのどちらかしかない、という極端な考えなのであれば、

その考え方は どちらも古いです。

どちらかだけではなく、その間の対応を一人ひとりにあわせて

対応を探ることが大切です。

人によって食べる量(適量)は違います。このくらいの年齢ではこの位の量を食べると良いとされているものに則って、保育園ではサンプルが置かれています。でももちろん個人差はあります。完食できることは、ある子にとっては良いことかもしれませんが、どんな子にも当てはまる正解ではないのです。病気もせず、元気で健康に過ごしている姿があることが大事です。

クラスの子どもに給食を完食させて、「保護者から喜ばれた!」

ということを、嬉しそうに語る保育士さんがいます。

子ども自身も なんでも食べられるようになったことで喜び、自身に満ち溢れ、

心身の栄養になって 大きくたくましく成長することにつながるのならば、

そのような保護者支援・子ども支援も 間違いではないと思います。

褒めて認めて励ましたり、ちょっと働きかけを工夫することで、

口にできるモチベーションを上げてあげて、

それで食べられることは、とてもいい働きかけだと思います。

でも、すべての子どもたちには該当しない考え方です。

じゃあ、無理強いさせずに「残していいよ」 毎日それでいいの?

偏った学びの受け取りをすることで 対応も極端になる先生も中にはいらっしゃいます。

「無理強いはいけないのね。ならば、『食べたくないなら、食べなくてもいいよ』と、

なんの見立てもせずに なんの働きかけもせずに、

食器を下げてしまっていいのね。」そうするのは簡単です。

最初から食卓に並べない人もいます。

「見たくもないものを出すのはかわいそう」と。

それはそれで、その対応には 私も疑問を感じます。

 

結果的には食べずに 下げたとしても、

最初から出さないことで 気持ちよく食べることを目標にして

そのような対応をしていることを 子の理解をしていることを、

チームで理解し 納得しているのならいいのです。

もしそうではなく、なんとなくの感覚や 偏った知識を元に対応しているのなら、

対応を見直してほしいです。

「食べたくないのは、どうしてなの?」と、こどもに話を聞いてみたり、

体調を確認したり、どうしたらその子が無理なく

少しでも口にできるのかを 考えてみましょう。

例えば、仲良しのお友だちが早く食べ終わって、

本当は食べられるのに、嫌いな食べ物ではないのに、お腹が一杯でもないのに、

体調が悪いわけではないのに、「残していいですか?」と

先生に聞く子もいるのです。

友だちと早く遊びたいがために。

もしくは、自分の好きなおもちゃを友だちに使われないように。

さっさと終わらせて、「早くあの子とあそびたい!」とか、

「あの子よりも早く、あのおもちゃをゲットして遊びたい!」 という思いが優先して、

「残していいですか?」という場合もあるのです。

 

もちろん理由が何であれ、その子が表現した

その子自身の思いを 汲むことは大切です。

そこで、やり取りを通して、丁寧に その日その時その子にとって、

どんな対応が一番必要なのかを見極めて対応することが、プロの仕事なのです。

みんなに同じ対応ではなく、

その子の体調や段階にあった対応を

見極めて次に繋がるように 声をかけ 働きかけることは、

プロとしてとても大切なことなのです。

無理強いをした結果

知り合いの栄養士さんは、小さい頃 保育園の先生から

無理やりトマトを食べさせられた体験を持ち、

30代になっても それがトラウマとなっていて、

今でも 6分の1カットのトマトが出されると、

オエッと戻しそうになって、気持ちが悪くなってしまうそうです。

 

私達は、良かれと思ってしたことで、

そんなトラウマを持つ 子どもにしてしまう 影響力があることを 肝に銘じて、

一人ひとりの背景を考えた上での対応をしていくことが 大切です。

それがプロとして、私たち保育士ができる 働きかけであり

お仕事の1つ なのだと思います。

親の好き嫌いが多いから なの?

これもよく言われることです。

「親のせいにされたくないな・・・」

私が保育士として新人の頃、

自分に偏食があるために

その当時はまだお刺身(生魚)が食べられなくて、

先輩保育士から 食事会の席で、

「あ〜、偏食がある子ってさ、親も好き嫌いが多くて、

だいたい親の躾や育て方が悪い事が多いんだよね」と言われました。

両親を批判されたような気分になり、

とても両親に申し訳なく思ったことがあります。

私の両親は全く好き嫌いなく 何でもよく食べる人たちです。

もののない時代に育ち、食べ物もとても大切にしています。

小さい頃、私が好き嫌いが多いので、

「何でもよく食べないと大きくなれないよ」と言われました。

刻み方を替えたり、調理方法を替えたり、味付けを工夫したり

毎回食卓には私が食べなくても いろいろな食材・料理を並べてくれました。

そのような工夫や配慮もしてくれて 感謝しています。

それでも、ダメなものはダメでした。

特に、納豆に関しては、「油で揚げれば食べられる」と

母の妹(おば)が主張して、

納豆が餃子の皮に包まれて 揚げられたものを出されましたが、

どうしても食べられませんでした。とにかく食べず嫌いです。

「一口だけでも食べてみればいいのに!」と言われても、

どうしても受け付けないのです。

納豆以外の他の食材なら 自分から食べる気になってみて、

ゴマ粒くらいの量を口に入れてみて、

それでもだめなこともあれば、それで、どうにか食べられることもありました。

こんな食感と匂いと味なんだな、という経験ができて、次からは

嫌いだとしても、なんとなく覚えていて、嫌だけどもう一回挑戦してみようかな

ということも出てきました。

また、スジのないお肉や、野菜も柔らかい葉っぱの部分は食べられるなど、

少しずつ食べられる部分を見つけられるようになりました。

私とタイプがにている3番目は、兄弟が「美味しい美味しい」と言って食べる様子を見て、

なんだか気持ち的に乗せられて、食べてみる機会を作ることができました。

でも、だめな時ももちろんあり、

「食べてみたら意外と美味しかった!」ということもあり、

そんなふうに、無理せず「自分から食べてみようかな」と言う気持ちが起こるのを待ち、

ただ待つだけではなく、きっかけは色々と試してきている中で、

少しずつ食の幅を広げてきています。

*ちなみに、私は今ではお刺身大好き。24歳の時に、ホテルの高級寿司をおごってもらう際、みんなが美味しそうに食べるなか、自分もはじめてマグロを食べてみました。すると、生臭くなくて美味しくて!赤みよりもトロが美味しいことにも目覚めた瞬間でした。

*おとなになってから食べられるようになったもの、たくさんあります。ナスなんてむしろ大好きです。ピーマンやゴーヤやこんにゃくや里芋やなめこはそこまで好きではないけれど、好き嫌いの範疇で、わざわざ注文はしないけれど、食べられないことはない、という所まで来ています。

*おとなになると、舌の上の味蕾が退化するそうです。いい意味で鈍麻さがでてきて、食べられるものが増えたのかもしれません。自分で選べる安心感、経験値も上がり感覚統合もなされてきて、食べられるものが増える、ということも考えられます。

自分から口にしよう と思う きっかけづくりのヒント

食卓に毎日いろいろな食材や料理を並べる。過敏さのある子は、初めて見るものに苦手さを感じたり、慣れたもの、周りの人たちが美味しそうに食べている様子、口にしようと自分から思った時にそれが可能となる機会が与えられている状況を作っておくことは大事です。

家族が美味しそうに食べる。保育園でも周りのお友達が楽しそうに美味しそうに食べている効果で、だいぶ食べられるものが増えました。

食感の何が嫌なのかを知って、それを避ける。ちょっと高くても、本人の好む 筋のない柔らかい 美味しいと感じるお肉を用意すると、食べられるようになりました。

無理強いをしない。魚の骨は一度のどにささってからは、トラウマになってしまい、二度と食べなくなってしまいました。「絶対に骨ないよ」と 安心できるツナ缶から 信用を取り戻そうとしているところです。

食感大事。我が子も私もカリカリ食感が好き。なので、フライや唐揚げ、天ぷらにすると、食べてもらえる率が上がります。ナスはキュッキュとなるより、柔らかくなるまで炒めると食べます。白菜や小松菜などの葉っぱはシャキッと感が残っているより、グダグダに煮ると食べます。調理方法は好みの感覚を知って、工夫しましょう。

味付け大事。甘くする、しょっぱくする、ケチャップやドレッシングをつける、など、好きな味付けにする。*薄味よりもハッキリした味付けを好む子も多い。健康には薄味がいいとは言うけれど、食べること優先でいきましょう。

温度も大事。暑いものは熱く、冷たいものは冷たい、など。*やけどしそうなくらいの熱すぎはもちろんやめてくださいね。

お皿を一緒に選んで、食欲をそそるような可愛くて素敵♡と思えるようなテンションの上がる食器に盛り付けましょう。購入時から一緒に選ぶとさらに効果的。

一緒に調理することで、何からできているのか、どんなふうに出来上がるのかがわかり、自分で作ったという喜びも加わり 食べる気持ちが湧いてくることもあります。*施設では、食育で調理保育をすると、とたんに食べるようになる!という魔法のようなことが度々ありました。

食材から自分たちで育てる。自分で手間ひまかけて育てた野菜は、やはり美味しく感じるようで、それまで口にしなかったナスやきゅうりを口にするきっかけとなりました。もちろん最初は サイコロより小さい感じに小さく切って、ほんの一口からのスタートでした。今では揚げナスの甘辛の味付けなら 乱切り一口サイズも食べるようになっています。

価値を伝える。理解ができるようになってきたら、その子が今求めているヒットする価値を伝えると、食べてみよう!というモチベーションにつながることがあります。例えば、「これを食べると、背が伸びるよ」「頭が良くなる」「肌が綺麗になる」などです。もっと理解が高くなれば、栄養素がどの部分にどのように働きかけるのか などの説明で、より信憑性が高まり、それならば食べてみようという気持ちも起きるようです。

本当に美味しいものを食べさせる。例えば、お刺身のマグロの 筋のある生臭いものを初めて食べると、マグロは美味しくないもの、お刺身全般がおいしくないもの と思うリスクは高まります。でも、初めて食べたものが、天然アミノ酸たっぷりの生臭くない とろけるような 筋のないマグロで、周りの人もみんな「美味しい〜」と感激してたべているのなら、きっと食べてみたいと思うことでしょう。そして、「お刺身は美味しい」と思うようになる確率も高まることでしょう。初めて食べる時の出会いは大切です。

【偏食(感覚過敏からくる)の人たちあるある】+対応方法

苦手な食材  

ブロッコリー(ぶつぶつの見た目と食感苦手)➜グダグダに茹でる・マヨネーズ(好きな調味料)を付ける

いちご(種が歯に挟まるから気になって嫌・赤い色が気持ち悪い・ヘタの部分のとり方が甘いと硬い食感が気になる)➜うらごし・中の白いところを切り取る・ヘタ周りを十分に切り落とす)

お肉(脂身のグニュ・スジのゴリッとした感じ・鶏皮のグニュぶつぶつ・つくねの中の軟骨が入っている時の予測しないゴリっとした食感)➜高い赤みの多いところを使用する・ひき肉を使用する(ハンバーグ・餃子・キーマカレー・ミートソースなど)・パリッと焼いたりあげたりする・軟骨入りをやめる

コロッケ(揚げたては衣がトゲみたいで痛い)➜しんなりするまで待つ

牛乳(ニオイが苦手・温めた時の膜が嫌だ・乳糖不耐症でお腹が痛くなる)➜ココアに混ぜる・フルーチェとして食べる・鼻をつまんで飲む・冷やして飲む・プリンにして食べる・ホワイトソースとして食べる・コーンスープに入れて飲む・アレルギーということにして飲まない・腹痛を起こす理由で飲まない

納豆(ニオイが無理・ヌメヌメが無理・糸を引くの無理・腐っているもの)➜ほうれん草と鰹節と醤油であえる・ワンタンの皮に包んで揚げる・お味噌汁に箸をつける・納豆の作り方や高栄養食品であることを 親子で一緒に勉強する

きのこ(食感が無理・菌糸でできている・毒キノコに当たりたくない不安)➜みじん切りにして肉団子に混ぜて揚げて、味付けの濃い甘辛あんで和える・無理に出さない・美味しく食べている人たちを見せる・図鑑を見せる

混ざっていてわかりにくいもの(混ぜご飯、ごった煮)何が入っているのかよくわからない見た目の煮物などは、手を付けないことが多いです。➜白いご飯で出す。単品で出す。カレーなど混ぜてもばれない好きな物に混ぜるのはOK(バレることもある)*カレーも、ルーとご飯を混ぜると嫌がる子もいる

好きな食材・こだわりの食材

白いものだけを食べる(ご飯・豆腐・ヨーグルト・パン)➜こだわりのある子で、主にこれしか食べない、ということもよくあります。ヨーグルトも銘柄にこだわっている場合もあります。そのブランドのものやそのパッケージのものしか食べないなど。その時期は安心して口にできることを優先してそれに付き合い、少しずつ違うものも食べられるようにしていきます。感覚遊びを促しながら、遊びの幅を広げるように、興味の幅を広げて、食の幅も広げていけると良いでしょう。また、好きな人や信頼している人からの働きかけだと、安心して口を開けることもあります。

・揚げ物大好き(ポテト・チキンナゲット)➜同じ食材でも、油で揚げた途端に食べることも多いです。固有感覚を満たされるからなのか、カリッとした食感や硬めのものを噛み砕く感覚が好きな子も多いようです。その意味では、じゃがりこ好きな子が多いのも頷けます。

味付けの濃いものを好む(ラーメン・チャーハン・カレー・ケーキ)➜塩味はしょっぱく、甘いものは甘く、というハッキリした味を好む傾向があります。薄味でぼんやりした味だと口にしないので、食べてくれないくらいなら、少しだけ調味料を足して味をハッキリさせてみるのも、食べてもらえるようになる一つの方法です。

調味料等でたべられるものもある(マヨネーズ・ケチャップ・ソース・ポン酢・ドレッシング・味のり・ふりかけ)口にしないものでも、マヨネーズをつけるだけで食べられたり、苦手な野菜も味付け海苔で巻くと食べることができたり、白いご飯が進まない子にふりかけをかけるとたべるなど、その子の好きな物をプラスすることによって食べられることがあります。

最初が肝心➜初めて食べる時のもので その食べ物に対する印象が決まってしまう傾向もあります。印象や記憶を塗り替えるのに時間がかかるタイプの子も多いので、最初に出す時に、その子の好みに合わせた調理方法や味付け、切り方、盛り付け方、好きな食器などで出すことが大切です。

*(必要以上に心配しないで大丈夫)苦手な食材を知ることは大切です。興味を持つまで食卓にはたまに出しつつ その日(自分から食べてみようかな?と思う日)が来るまで待ったり、味付けや調理方法等の工夫でいかに食べさせるかという視点も大切ですが、同じ栄養素なら他の食材でどう代替できるのか の視点もとても大切です。食べられるものは数品だけだけど、カウプ指数に引っかかっていないし、病気はしていない、といった発想を持ち、必要以上に心配感を持たないことも大切です。

*(体が求めていないのは、アレルギーかもしれない?)子どもが避けている食材(果物や卵、乳製品、小麦粉、木の実など)は、実はその子がアレルギーを持っていたりして、体が本能的に避けている場合もあるようです。今は体が求めていない、その時ではない という発想で、好きな物を少しずつ広げられるようにしていきましょう。

*(お菓子でお腹を満たさないで)お菓子でお腹を一杯にしているのだとしたら、それは未来の自分の体や心や頭をつくってくれている原料として、あまりふさわしくありません。体に入れるもので自分(細胞)は作られます。口にできる食材は少ないとしても、いいものを体に入れる、という視点は忘れずに、添加物の塊で炭水化物と油と糖分と塩分と香料でできているお菓子ばかりでお腹を満たすのはやめましょうね。もちろん「お楽しみ」として、たまにはいいのですよ。

本人へのアプローチ

今すぐ口にできない感覚の過敏さがあることを軽減させていく

その子にあった基礎感覚(触覚や前庭感覚・固有感覚)を育てる

身体からの働きかけ(いわゆる感覚統合を促す取り組み)を、

遊びや日常の中で行っていくことも 大切な取り組みになってきます。

感覚過敏は感覚刺激の交通整理が脳の中でうまくいっていない状況なので、

脳内の脳内分泌ホルモンや受容体への働きかけを、

ふれあい遊びや運動等による働きかけで、

感覚刺激の正常な交通整理をしていく

といったイメージの取り組みです。

一朝一夕には行かず、長い目で見た取り組みにはなりますが、

いかに食材をどうするか、環境をどうするか という働きかけの工夫だけではなく、

身体からのアプローチを同時に働きかけていくことも有効です。

アドバイスしてくれる専門家や取り組みが書かれた本を見つけて、

楽しみながら実践していくといいでしょう。

参考文献:「発達の気になる子の 学校・家庭で楽しくできる 感覚統合あそび」 川上康則 監修 ナツメ社

(さいごに)

あなたは本当になんでも食べることができますか?

外国のあの食べたことのない虫でも? 匂いの強いあれでも?

「ちょっといやだなあ。」

そう、そうでしょう。それがわかれば、偏食の子どもの気持ちも

少しは分かってもらえるのではないでしょうか。

偏食の一番の対応は、

偏食の子どもの気持ちを理解することが 何より大切なのです。

(まとめ)

★偏食についての理解を深めていき、少しずつその子にあった進め方で、口にできるものの幅を広げていきましょう。

★無理強いはせずに、あれやこれや試しながら、うまくいったことがあれば、園と情報交換していきましょう。同じような悩みを持つ保護者とつながって情報交換をしたり、偏食外来のあるお医者さんの力を借りたり、感覚統合を促したり、いろいろな方法はあります。

★感覚の過敏さやこだわりから起こる偏食は、脳の機能の問題であり、しつけの悪さや本人のワガママではありません。偏食の子どもの理解をして、優しくあたたかい対応をしましょう。

★深刻にならず、諦めず、楽しみながら 本人の困り感を減らしていけることを願っています。