「アスペルガーって何?発達障害って診断名なの?」
このような質問をされることが割と多いので、お答えします。
この記事でわかること
・ASDとADHDについての特性が、ざっくりわかります。
・発達障害のことが少しわかります。
・「アスペルガー」は、自閉症の人の代表格の言葉のように使われていることが多いですが、発達支援の現場では、「昔使われていた言葉」という扱いなっていることがわかります。
アスペルガーって?
アスペルガーは、言葉や知的に遅れのない空気読めない系の自閉症の人のことを指します。
「そういえば、このごろあんまり『アスペ』とかって言わなくなったよね。」「そうなの?普通に使ってたけど。でも、たしかに。」保育士さんたちから、そんな会話が聞こえてきました。どうしてなのでしょうか。
・アスペルガーとは、今は言わないことが多くなりました。それは、米国精神医学会が作成した診断基準であるDSM-5「精神障害の診断と統計マニュアル」によって、広汎性発達障害やアスペルガー症候群という診断名は記載されなくなったからです。
・この人はこの障害、と言ったような明確な区分けが難しく、それぞれが独立した特性として現れるわけではないことなどから、連続帯(スペクトラム)の中に位置づけられるよね、ということで、ASD(Autism Spectrum Disorder)=自閉スペクトラム症と言う呼び方をされるようになりました。
・ちなみに、WHO(世界保健機関)による診断基準のICD-10「国際疾病分類」では、広汎性発達障害の中に、自閉症やアスペルガー症候群などが位置づけられ、さらに自閉症の中にカナー症候群や高機能自閉症などが、病名として細分化されて位置づけられています。*今後ICD-11が施行されると、こちらの内容もまた少し変わるかもしれません。
発達障害はどんな障害?
・発達障害は、診断名ではありません。
・発達障害は、DSM-5では「神経発達障害群」のカテゴリーとして位置づけられています。「発達障害」とは、「神経発達障害群」の略とも言えますね。
・発達障害の中に、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(限局性学習障害)等があります。
ASDとADHDの違いを教えて。
特性説明後、➜メリットも書いています(^^)
ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)

【コミュニケーションの障害】と言われていますが、空気が読めないので、人の嫌がることを言ってしまったり、自慢を平気でしたり、自分の好きな分野については話が止まらなかったりします。しかし、それだけしゃべれるのに、いざというときに、自分の気持ちを上手に伝えられない人も多くいます。喋り方が独特で一本調子だったり、セリフを言うようなパターン化されたような話し方の人もいます。人との距離感の近すぎる人もいますね。曖昧な表現だと意図汲み取りにくく、字義通りで意味を取り違えて天然と言われていたり、社会のルールを守ることにやたら厳しく、クソ真面目で融通が効かないなども特徴です。全体像をみることが苦手なため、人の顔が覚えられず、名前と顔が一致しない人も多く、そのためにコミュニケーションが取りにくくなっていることもあります。
➜空気を読まないからこそ、大きな成功を収められた偉人は多いのです。性格がいいからこそ感覚のズレが天然として面白がられたり、もてはやされたりします。人とちょっと違う感覚を活かして、活躍している人は大勢います!
【こだわり】のある人が多いです。道順にこだわったり、エレベーターのボタンを押すことに執着したり、それができないと、不安になったり、癇癪を起こしたり、現れ方は人それぞれです。新しいことに不安になるのは、見通しが立たないこともあるかもしれませんが、ルーティンワークで落ち着けることが崩されてしまう恐怖感、決め事を貫き通したいというこだわりからきていることもあります。狭いところを好み、広い部屋にポツンよりもパーテーションで区切られた一人用の端、窓際壁際に入り込むと落ち着く人も多いです。
➜こだわりのシェフ、芸術家、職人さん、クリエイティブな極めている人はみんなこだわりのある人です。そのこだわりを誰かのため、人類のため、社会のために活かしましょう!
【感覚過敏】の人も多いです。音を聞いただけでピアノの再現ができたり、偏食だったり、洋服のタグを気にしたり、変な感触がするような場所を裸足で歩くなんてとんでもなく不快、ニオイをいちいち嗅いだり、大きな音に驚きやすく、他の人がなんとも思わないような音でも鳥肌が立つような不快な音があったりします。
➜過敏な人がいるおかげで、種が滅びずにいるということもあるのです。芸術家や道を極めている人も、過敏さがある人だからこそ、才能が光っているのです。
ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)

【注意力散漫】アンテナが張りまくっている状態で、いろいろな情報が頭に耳に目に入ってきて、集中すべきことに集中できなくなってしまいます。
➜マルチタスク(同時処理)にこなすことができるタイプであれば、重宝されます。いろいろなものに興味を持ち、好奇心旺盛であることは人生を豊かにすることにつながるかもしれません。
【過集中】その反面、自分の好きなことに一度没頭すると、周りのことが眼に入らなくなり、話しかけられても気が付かずに、無視をしているわけではなく、時間も忘れて没頭することもあります。
➜シングルフォーカスタイプであれば、一点集中で大きな力を発揮できる人で、活躍する場面もありそうですね!
【時間概念の薄さ】約束の時間の5分前ちょうどに集まれることは少ないです。タイマーをセットしてもその時間から目に入った別のことをついやってしまったりします。見通しを持ち行動することが苦手です。悪気は全くありません。自分の年を忘れていたり、今日の日付や曜日がわからなかったりもします。
➜時間を有意義に使うためのグッズは今色々あるので大丈夫。時間概念の薄い人は、気持ちの若い人も多いようです。気持ちが若いと見た目も若くなるようです。
【忘れんぼう】朝からかばんの中にいれたはずの鍵を探している、今日もあれを忘れた、あれを取りに行ったはずなのに目に入ったことをやり始めて当初の目的を忘れてしまう、そんな不注意で、忘れんぼさんの特徴があります。
➜こちらも忘れんぼ防止グッズは色々あります。世の中に忘れんぼさんはたくさんいるので、どうしたら忘れないで済むかを研究して、対策を考えて発表すれば、多くの人の役に立てますね!
【多動性が高い】のが特徴で、じっと座っていることが苦手。身体のどこかを動かしていないといられない。お口の多動(多弁)の人はずっと喋っていることで落ち着きます。沈黙の時間をつくりません。スペースがそこにあれば走り回ります。テーブルの上に登る、椅子を斜めに傾ける、消しゴムちぎって投げる、消しゴムに鉛筆指す、目の前に出されたものすぐに触る、など落ち着きが無いと言われることも多いでしょう。
➜元気いっぱい、エネルギーがありますね。行動の統制がきくようになるには、基礎感覚を育てる動きもたくさん行っていきましょう。年齢とともにだんだん落ち着いて、20歳までは半分の人が落ち着くと言われています。ただ、行動力がある人は、コントロールが付けば実践力の高い人に変わり、成功者となりやすいとも言えます。素晴らしいことですね!
【衝動性が高い】のも特徴で、人の話を最後まで聞いていられずに話し出したりするのも衝動性の一つです。気持ちと行動のコントロールができないので、頭にきたと同時に人を殴ったり暴言を吐いたりします。心根は優しい子も多いので、あとで「どうしてあんなことやっちゃったんだろう(言っちゃったんだろう)」と悔やむことも多いです。
➜決断が早く、チャンスを逃さない、幸運をゲットできる人だと言えます!おなじことをやるにも、時間をかけて選んだ人と、かけずに選んだ人は、衝動的であっても時間をかけずに選んだ人のほうが成功は早く、その状態が残りの人生長く続きます。失敗も早くに気づいて修正が効き、成功への近道になるだけです。どちらにしてもいいことなのですよ。
ASDの人はADHDには診断されないの?

そんなことはありません。両方の特性がある人も多くいます。どちらかだけがきれいにある、という場合のほうが少ないでしょう。また、どちらも全く無いという人も少ないでしょう。診断名がおりるほどではなかったとしても、特性は持っている%が高いか低いかの違いこそあれ、心当たりのある人がほとんどのはずです。「人類皆発達障害」と言う名言!?もあるほどですから。